「水割りストロベリー」
昭和20年、巌谷大四が東方社という陸軍参謀本部直属の対外宣伝機関に勤めていたとき、社の誰かが苺のエッセンスだという、怪しげな真紅の液体を一升瓶で持ってきたそうです。酒のない時代だったので、皆喜んで、コップにそれを三分の一ほど入れ、水をつぎ足して呑んだそうです。呑んでみると味もそっけもなく、苺の匂いばかりがぷんぷんしていたということです。しかしこれは大変なアルコール度をもったもので、多量に呑んで広間のソファーにひっくり返る者が続出したそうです。(「文壇ものしり帖」 巌谷大四) この時代は苦味チンキやインク、メチルなど色々なものが飲まれたようですが、「味もそっけもなく」という表現からして、結構上手に蒸留してあったアルコールだったということなのでしょうか。
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